気圧の谷の真っ只中、前日夜までの雨模様。受付スタート時にも雨は残り、少し不安を残したままスタートとなったことしのエソワンGP。
過去最高となる昨年を上回る約190人の申し込みがあり、キャンセルなどで実際の参加者はおよそ180人ほどとなったのではないか。
昨年に引き続き、MCは『四季の釣り』でおなじみの伊丹章さんが担当。例年通り、実行委員長・ひろの開会のあいさつ、副実行委員長・青山雄史のルール説明に続き、記念撮影。エソワンGP実行委紅一点・つなの号令で競技スタートとなった。
朝イチのスタート直後は、南よりのうねりが残り、本部会場前の浜辺も怒濤が押し寄せていた。開会式では実行委員側から、例年に増して「安全第一」が念押しされた。北面の漁港まわりではそこそこ安全に釣りができていたものの、開始2時間くらいから風向きが北に変わると共に雨脚も強まり、この時間は車で待機する参加者も多くいたようだ。
果たして今年の釣果はどうだったのか。午前10時も過ぎると雨も上がり、ウェイインに戻ってくる参加者も。ことし初出店となるコアマンカフェのスタッフが挽き立てのコーヒーをふるまい、ねぎらってくれた。
ウェイイン終了が近付いてくるころには晴天が広がり、海も穏やかに。「今回は大会初のヒラスズキの持ち込みがあるだろう」という予想通り、ヒラスズキの持ち込みがあった。どうやらウェットスーツを着用し、本気でヒラスズキを狙ったアングラーもいたようだ。だが、これも毎年のことだが、一度もロッドを握ることなく仲間との再会に花を咲かせたグループもいた。
宇宙一の称号を手にするも良し。
和歌山の海で他魚の豪快なファイトを楽しむも良し。
はたまた、仲間同士の会話に花を咲かせるだけでも良し。
桜の開花はエソの始まり。そう、エソの釣果は春を告げてくれるものである。
それぞれがエソワンGPであり、独自の楽しみである。
それでは結果発表。
まずは他魚の部から。
この日は3本のメジロが持ち込まれ、接戦を制し、1位に輝いたのは、
なんと女性アングラー
@165さん!
メジロ4371g!
並み居る男性陣を尻目に堂々の栄冠! しかも他魚の部としては過去最重量だった昨年のメジロ(3482g)を大きく上回る重さで記録を更新しての優勝となった。「初めて釣った魚がこれです」と信じられないような表情を浮かべた@165さん。僅差で2位だった、うみぎつねさんのサポートが生んだ信頼関係からの優勝だ。ちなみにうみぎつねさんは参加するたびにメジロをゲットする青物キラーで、昨年も他魚の部で2位に輝いた。
◇ ◇
続いてエソの部
エソの部については、見事本命魚をゲットし、ウェイインした人は180人中44人。悪天候だったせいか、昨年(47人)を少し下回った。
うちリミットメイク達成者は12人、こちらは昨年の9人を3人上回った。
総漁獲エソ匹数は120匹(昨年対比8匹増)
重量にして42,823g(昨年対比2,736g増)
1匹の平均は357gだ。
宇宙一の称号を手にするための一つの壁といえる“2,000g”を突破したのは3人のみ。
これは昨年より1人増の数字。王者になれる資質を備えた猛者である。
それでは発表。
栄えあるエソワンGP2017、180人の頂点に輝いたのは、
総重量2283g
エントリー№122
Sさん!
地元中の地元、中紀在住のアングラーで本職はチヌポッパーながら、シーバス、エギング、ライトゲームからオフショアのマグロまでもこなすマルチアングラー。
2 位に219g差をつけての優勝である。和歌山勢からの優勝はこれで5年連続。ポイントはエソの聖地「衣奈漁港」で、ベイトフィッシュを意識し、ジグスプーンで連発した。
「日頃親しくしてもらっている釣り仲間のお陰。たまたま僕が当たったが、仲間の誰かであっても不思議ではなかった。地元アングラーのネットワークがあってこそ」と友をたたえるが、その釣り仲間の一人こそが、3位入賞の、とみおっちさん(昨年2位)だ。
ちなみにことしの2位は昨年3位の、あたりさん。2人とも上位入賞の常連である。
結果発表!
【エソの部】
優勝 S 5匹 2283g
2位 あたり 5匹 2064g
3位 とみおっち 5匹 2002g
【他魚の部】
優勝 @165 メジロ 4371g
2位 うみぎつね メジロ 4311g
3位 ばし(道楽) ヒラスズキ 2241g
【ジュニア部門】
優勝 UTA 1匹 383g
【レディース部門】
優勝 ちえ 3匹 1141g
【珍魚賞】
ムークン(マヒマヒ海賊団) チヌ(大会初) 1170g
エソの部、他魚の部の全成績は、公式HPの2017リザルトにて公開中!
総評
まずは参加者の皆さま、そしてスポンサーの企業・団体さま、心よりお礼を申し上げます。何より素人集団の運営ゆえ、不手際も多数あったと思いますが、皆さまのサポートによりこの大会を運営できていることに感謝しております。
主に3月下旬から4月上旬にかけての、連続した降雨を「催花雨」いい、菜の花や桜などの開花、すなわち、春の彩りを催す雨という意味で使われます。桜の開花の頃から釣果が上向いてくるため、僕の中では「春告魚」は、メバルではなくエソだと思っております。釣果が聞かれるようになるのはいいのですが、今回はこの「春を呼ぶ雨」にずいぶんと悩まされました。
スマホの予測変換、今年のエソワンGP開催の一週間前くらいから、僕の画面には、「し」と入力すると、「週間天気予報」と表示されるようになりました。それほどまでに、天気予報のアプリやサイトとにらめっこする日々が続いたのです。当初の予報では金曜の夜から崩れ始め、月曜まで雨マーク。一時は「やむなく延期」という判断も、よぎりました。
しかし、一部のサイトでは土曜の深夜には雨が上がり、日曜日当日は朝から晴れるという予報もあり、金曜の午前中に「予定通り4月9日の開催」を決定しました。
大会当日は、開会式こそ、雨は上がっていたものの、午前9時くらいからは一時、大雨に。この時間帯は多くの参加者が車内で待機していたと聞きました。そんなロスタイムがあったにもかかわらず、匹数、重量とも昨年を上回る釣果を叩き出していただいた参加者の皆さまの底力、そしてエソ確保への執念、素晴らしいものを見せていただきました。
また、他魚の部も、メジロの他、大会初となるヒラスズキ、そしてチヌ、その他、定番のガシラやハゼの釣果もあり、これらの魚も花を添えてくれました。
ウェイイン時にはコアマンさまの協力でカフェを出店していただき、参加者さまにふるまっていただきました。
そしてことしのじゃんけん大会の目玉には、日本一のフィッシングホテル「淡路島観光ホテル」さまのペア宿泊券のプレゼントが。こちらも大いに盛り上がりを見せてくれました。
エソワンGP2017。6年前にSNSのオフ会としてスタートした17人からすると、およそ10倍の参加者数になりました。毎回、この総評でも述べさせていただいている通り、このエソワンGPという大会、仲間同士の交流の場という役目を果たしてオープントーナメント化し、さまざまな価値観を持つアングラーが集う場となりました。真剣にエソを狙うもの、和歌山の海という豊かな舞台で他魚の部を狙うもの、はたまた釣り竿は一切振らず、バーベキューにいそしんだり写真撮影を楽しむもの。エソワンは人それぞれの楽しみ方があるレクリエーションという、まさに楽しんだもの勝ちという存在であるのだなぁと、釣り本来の持つ「楽しむ」ということを教えていただいているようです。
MCの伊丹さんからは昨年同様「エソワンは、参加者さまの笑顔がすてきな大会という印象」というお言葉をいただいております。コアマンカフェで美味しいコーヒーを振る舞っていただいたスタッフさまも笑顔で楽しんでいてくれた印象を受けました。
最後に一言。閉会式の時に3位入賞者の皆様が上がっていた表彰台、そして完全に風を遮ってくれていた本部席。実はあれ、我々実行委員会が作ったものではなく、有志様のメンバーが作ってくれたものなのです。本当に、本当に感謝です。参加者の皆様もプレゼント交換品を持ち寄っていただき、こちらも心から感謝しております。実行委員だけでは力不足ながら、参加者、スポンサー様みんなに助けていただいて成り立つ大会だと、ただただ頭の下がる思いです。
もう一度、いいます。心から感謝です。
また来年、この場所でお会いできること、楽しみにしております。
エソワンGP実行委員長 ひろ