副実行委員長の青山が空前絶後の雨男という宿命を背負っているエソワンGP。昨年の大会は午前の部は大雨の中の開催となったりと、過去大会で一滴の雨も降らなかったことは皆無だったのではないのだろうか。ことしも雨の心配はもちろん、それより「風」に悩まされる予報となっていた。
有志により強固な大会本部が組まれ、ブルーシートによる風よけも設置されたため、備品が吹き飛ぶなどのトラブルもなく、183名という多数の参加者が大きな混乱もなく受け付けは終了した。
昨年に引き続き、MCは『四季の釣り』でおなじみの伊丹章さんが担当。例年通り、実行委員長・ひろの開会のあいさつ、副実行委員長・青山雄史のルール説明に続き、記念撮影。エソワンGP実行委紅一点・つなの号令で競技スタートとなった。
朝イチには心配されていた風もほぼ収まっていたものの、寒の戻りというには「戻りすぎ」というツッコミを入れたくなるほどの寒さが残り、真冬の出で立ちでの参加者が目立った。果たして今年の釣果はどうだったのか。前評判では「爆釣」という声、「全く釣れない」との声が入り乱れ、非常に読みが難しい大会となったが、実行委員が少し現場視察に向かったところ、ムラがあるものの釣果は出ていたようだ。
ことしも昨年同様にコアマンカフェのスタッフが挽き立てのコーヒーをふるまい、参加者をねぎらってくれた。
また、ベイトロッドの専門メーカー「フィッシュマン」、総合釣具メーカー「ゼスタ」、地元和歌山のライトソルト専門メーカー「ドリームアップ」の3社がブースを出展し、試投会を開催。参加者は最新モデルのロッドを手にし、その良さを実感していた。
例年ならウェイイン締め切りの2時間ほど前からちらほらと帰着する参加者がいるのだが、今年はウェイインリミットの正午ぎりぎりまでなかなか帰着者が現れず、最後まであきらめずに結果を求めているアングラーが多かったことが伺える。そしてその姿勢が他魚の部で大きなドラマを生むことになった。
そしてこれも毎年のことだが、一度もロッドを握ることなく仲間との再会、会話に花を咲かせたグループもいた。
宇宙一の称号を手にするも良し。
和歌山の海で他魚の豪快なファイトを楽しむも良し。
はたまた、和歌山の自然を楽しむのもまた一興。
それぞれがエソワンGPであり、独自の楽しみである。
それでは結果発表。
まずは他魚の部から。
この日はウェイイン締め切り間際にドラマが待っていた。2本のメジロが持ち込まれ、1位に輝いたのは、
「I.J.C.A釣狂」団員
くろねこたまごさん!
メジロ3792g!
今回が初参加。朝から何のアタリもなく、あきらめて帰ろうかとしていた時に強烈なバイト! ウェイイン時間が近づく中、グループ団長をはじめ団員のサポートを受け、見事な連携プレーでキャッチし、すべり込みで帰着! 最後まであきらめない精神で堂々の1位に輝き、表彰台では仲間への感謝を声を大にして伝えると、観客席からは仲間の大歓声が上がった。
◇ ◇
続いてエソの部
エソの部については、見事本命魚をゲットし、ウェイインした人は183人中49人。意外にも、昨年(44人)を少し上回った。
うちリミットメイク達成者は6人、こちらは昨年の12人を大きく下回った。
総漁獲エソ匹数は103匹(昨年対比17匹減)
重量にして35,689g(昨年対比7,134g減)
1匹の平均は346g(昨年対比7g減)だ。
宇宙一の称号を手にするための一つの壁といえる“2,000g”を突破したのはたった一人のみ。
王者になれる資質を備えた猛者である。
それでは発表。
栄えあるエソワンGP2018、183人の頂点に輝いたのは、
総重量2,346g
エントリー№49
あたりさん!
最近3年間を振り返ると2015年3位、2016年3位、2017年2位と3年連続で表彰台に上っているエソワンGP屈指の理論派アングラー。緻密な計算により編み出されたメソッドとパターンは参加者から絶大な支持を得ている。独自の釣りにぶれることなく表彰台の真ん中だけを見つめて挑んだ今大会だった。「無冠の帝王」「シルバーコレクター」の称号はもういらない。2位以下を大きく引き離すキャリアハイの2346gという堂々の成績で頂点に立った。
今大会もプラを3回重ね、パターンを解析。季節の進み具合を見極めて大きさを判断し、当日は9本ゲットし、5匹を選んで4匹をリリースしたという。ポイントはやはりエソの聖地と呼ばれる「衣奈漁港」であり、ボトムから中層の流れの変化をつかみながらジグのリフト&フォールで結果を出した。
エソワン参戦のきっかけは、2012大会の募集をツイッターで見たから。一人で参加したこの2012年大会は、後に「2012の悪夢」と呼ばれるエソワン史上最低(全参加者51人中でエソを釣った人は2人だけ)という黒歴史を刻んだ年で、あたりさんも例外なくノーフィッシュに終わった年であった。
しかしあたりさんは、翌2013大会では4匹を釣って実力の片鱗を見せ、その後2014~2017年大会は全てリミットメイクを達成。2018大会では優勝ラインを2,200gと設定し、自らが定めた目標を見事クリアした。表彰台では「これでやっと一休みできます。来年はゆっくりとエソワンを楽しみたい」と述べ、孤高のトーナメンターの表情が緩んだ。
結果発表!
【エソの部】
優勝 あたり 5匹 2346g
2位 ノリック 5匹 1955g
3位 ぐれむ 5匹 1767g
【他魚の部】
優勝 くろねこたまご メジロ 3792g
2位 たにやん メジロ 3090g
3位 ジョー シマフグ 1435g
【ジュニア部門】
優勝 UTA 5匹 1955g
【レディース部門】
優勝 ナナ 1匹 355g
【珍魚賞】
該当なし
エソの部、他魚の部の全成績は、公式HPの2018リザルトにて公開中!
総 評
まずは参加者の皆さま、そしてスポンサーの企業・団体さま、心よりお礼を申し上げます。何より素人集団の運営ゆえ、不手際も多数あったと思いますが、皆さまのサポートによりこの大会を運営できていることに感謝しております。
「釣りができるのか?」――。4月とは思えない西高東低の気圧配置で寒気が流れ込んだ大会前日。北西風が吹き荒び気温も急低下、やはり今年も天候に悩まされることとなりました。気温だけでなく、事前の情報も結構冷え切ったものが多かった気もします。「アタリすらない」「エソはどこにいるの?」など、芳しい声は聞こえてきませんでした。実は一部コアなエソワンファンから生温かいご支持をいただいているエソワン直前のプロモーション「実行委員会によるエソ釣り対決」の動画撮影も行っていたのですが、3人とも「完全ノーバイト」で撃沈。「対決企画は、やらなかったことにしよう」と闇に葬ったのでした。
半面、一部の情報では「入れ食い」「20匹釣った」など明るいものもあり、優勝のあたりさんのプラでも毎回2ケタ釣果を上げるなど、「釣る人は釣る」という感じでした。蓋を開けてみたら前述のように多くのアングラーがエソの釣果を上げ、他魚の部もいろんな魚が持ち込まれて盛り上がりました。
ウェイイン時には昨年同様、コアマンさまの協力でカフェを出店していただき、参加者さまにふるまっていただきました。また、フィッシュマンさま、ゼスタさま、ドリームアップさまがロッドの展示と試投会を行っていただき、こちらも好評だったと聞いております。
そしてことしも伊丹さんの巧みなトークによるじゃんけん大会が行われ、目玉には、日本一のフィッシングホテル「淡路島観光ホテル」さまのペア宿泊券のプレゼントが。こちらの争奪も大いに盛り上がりを見せてくれました。
「前例主義」ではなく、常に何かにトライしていきたいという実行委員全員の思いで、ことしの優勝の副賞は、オリジナルの「エソ専用ロッド」を作り、事前に告知をしていました。これがなんと好評で「なんとしてもゲットしたい」と参加者様の心に火が付いたようでした。
エソワンGP2018。この総評で毎年のように書かせていただいておりますが、さまざまな価値観を持つアングラーが集う場となっております。真剣にエソを狙うもの、和歌山の海という豊かな舞台で他魚の部を狙うもの、はたまた釣り竿は一切振らず、バーベキューにいそしんだり写真撮影を楽しむもの。エソワンは人それぞれの楽しみ方があるレクリエーションという、まさに楽しんだもの勝ちという存在であるのだなぁと、釣り本来の持つ「楽しむ」ということを教えていただいているようです。
今年の覇者あたりさんも最初は一人での参加でしたが、今では「関西馬鹿野郎フィッシングクラブ」という、規定のないゆるい団体の仲間となり、みんなと交流しています。こうして人と人がつながっていく場。これもエソワンの大きな魅力だと思っております。実際、私もこの大会を通じて多くのアングラーさまとお知り合いになることができました。人とのつながりは人生において最大の財産であり、自分を大きく成長させていただいております。
閉会のあいさつで当会顧問である千代丸が「第10回大会までは頑張ろう」とボクと話をしたことを明かしました。それに対して参加者さまから「第10回といわず、20回、30回とやって!」という声をいただきました。すごくありがたいことです。自分たち実行委員会だけではできないことを参加者さま、有志の皆様が補ってくれて、スポンサー様にも多大なる御協力をいただいて成り立つ大会です。ただただ頭の下がる思いです。
心から感謝しています。
また来年、この場所でお会いできること、楽しみにしております。
エソワンGP実行委員長 ひろ