【プロローグ】
「なんや、やっぱりエソかよ…」―。
行楽シーズンを迎え、多くの家族連れでにぎわう防波堤の上で、落胆の声が響く。ため息の主はマゴチやヒラメ狙いでルアーを投げていたお父さんだ。
フグ、ベラ、小サバ、ゴンズイ、そして…エソ。
防波堤の上には、干からびた魚の数々。釣れても食べられない(食べたくない)から持ち帰らないという行為は、リリースによって完結するはずだが、どうしてだろうか、魚たちはそのまま灼熱のコンクリートの上に放置されて死んでいる。
「ただ、いたずらに命を奪う」という愚行。子どもたちの目に、これらの惨状はどう映るのか。自然界において、他の生命体による命の強奪は、食物連鎖以外にあり得ないはずだ。
釣り人の中には命を大切にし、小魚や食べられない魚はきちんと海に帰す人もいる。「一寸の魚にも五分の魂」だ。
勇猛果敢な性格ゆえ、ルアーに躊躇なく襲いかかるエソにも尊い命がある。よく釣れる割に「小骨が多くて食べられない」「見た目が気持ち悪い」といった釣り人の身勝手な理由で嫌われる、いわゆる下魚(げうお)だ。しかし、きちんと調理すれば非常においしく食べられるのでキープする人もいる。
裏を返せばエソをリリースすることは「調理できる技術がない」と宣言していることにつながる。
エソを蹴り飛ばす人もいれば、エソで喜べるセンスのある人もいる。
エソという嫌われ者で、大会を開くこともできる。
命の尊厳を知り、それに感謝していただく。
エソワンGPは、そんな粋な「遊び上手」の頂点を決める戦いの場である。
【エソワン理念】
1 B級どころか、C、D級ターゲットとして、釣り上げられても嫌われるエソの地位を向上し、メジャーターゲットに昇格させる。 2 美味なのに骨のせいで捨てられるエソをキープし、その味のよさを確かめ、そして広める。
3 「釣りは何を釣っても楽しめる」という、枠にとらわれない新しい形のエンターテインメントを提供する。
【基本ルール】(第4回大会に準拠)
大会名称:
エソワングランプリ
大会内容:
ルアーフィッシング 1デイトーナメント。
目的:
エソを対象とした釣り大会を催すことで、釣り人相互の親睦をはかるとともに、参加者の釣技向上および地域の釣り文化振興を目指し、また一般的には不人気対象魚をなっているエソの地位向上と、魚食文化への貢献をも目指すこととする。
開催日時:
4月第2日曜
主たる開催場所:
和歌山県日高郡美浜町の煙樹ヶ浜に本部を設置。釣り場は任意とする。
参加資格:
釣り愛好者であれば、性別年齢は問わない。
参加費:
2,000円(すべて大会運営費とし、非営利とする)
表彰対象:
[エソの部]ショアからルアーで釣り上げた、エソ5匹の総重量にて順位を競う。1位から3位までを表彰。
[他魚の部]ショアからルアーで釣り上げた、他魚1匹の重量にて順位を競う。1位から3位までを表彰。
その他、各協賛団体からの協賛賞も設定する。
※両部門ともタックル制限は一切なし。